あれからの日乗

(3) bms的に働く

それにしても、内向型人間に随分優しい世の中になった。

マスク

着けてないとキチガイ扱いとは変な世の中だなと思う。おかげで遠出しなくなったし、外出しないことが是であるという、引きこもりが勝利する時代が到来したのだから、それに順応する以外にはない。

時差通勤

十時出勤が可能になり、とても働きやすくなった。繁忙期は七時に出たり、稀に会社で夜を明かすこともあるが、今は大体十時出勤している。

在宅

会社には出ても出なくても良いのだが、わざわざ会社の近くに引っ越したので普通に出ている。ドアツードア二十分なので、満員電車もさほど気にならない。

オンライン化

セミナーの殆どや会議の多くがオンラインで完結するようになったのが非常に大きい。

海外のセミナーでは時差が辛い場合もあるが、それでも行かずに受けられるのは極めて大きなメリットである。

どんな仕事が良いか

尖っているほど良いと思う。加えて金が貰えるなら尚の事良い。

私は昔から一番になりたかった。どうせならば理三を目指したかったし、どうせならばbmsも全白を目指したかった。しかし達し得なかった以上は次のフィールドで戦うだけである。

私の今の仕事の最も良いところは、マイナー分野であり競技人口が少ないことである。勉強会などで同業者と仕事の話をすると、大体はそのような仕事の存在すら知らない。

平均年齢の若い渋谷系ITだと私はオッサンだが、今の会社だと殆ど新卒扱いであるし、ライバルも少なく、ここなら勝てると思った。

ITだと単なるウェブ系だとレッドオーシャンも良いところなので、それに加えて何か尖った技能を身に着けておくと、食い扶持に困ることはない。

案外革靴は悪くない

私が就活なるものを碌にやらなかったのは、革靴とスーツを着たくないというのが一つの理由としてあった。

革靴は足が痛くなるし、全くもって気分が悪かった。

そんな私の会社は私服勤務ではないが、ビジネスカジュアル程度の緩さで、今は嫌っていたジャケット革靴スタイルで仕事をしている。

嫌いな革靴も、ある程度良いものを買えば足に馴染むようになる。私は今ではオフでも大体革靴を履いている。靴の話については別のエントリで詳しくしたいと思う。

bms的に働く

今は就職氷河期だそうだが、これほど働き方に不可逆的なメリットをもたらしてくれているのだから、むしろ歓迎すべき事態だと思う。

新しい時代に適応できない会社は廃れゆくのみであり、今やそういった会社を事前に避けることができる。

私のように尖った仕事を選べと言わないが、ここでは「bms的な仕事」を選ぶことを勧めてみたい。

例えば、「刺身にタンポポを載せる仕事」であっても恐らくある程度の熟達は得られる。続ければタンポポを載せる手際は良くなるだろうが、しかしそれには限度がある。

生涯にわたって熟達を得られ、かつそれを生涯続けるに値する仕事こそがbms的な仕事である。そうした仕事に就けるのであれば、私のような人間であっても、多少は生きる意味を見出すことができる。

私の好きな言葉

私の好きな言葉を贈る。

The voyage of the best ship is a zigzag line of a hundred tacks. See the line from a sufficient distance, and it straightens itself to the average tendency. Your genuine action will explain itself, and will explain your other genuine actions. Your conformity explains nothing. Act singly, and what you have already done singly will justify you now.

Self-Reliance(Emerson) より。この一節を読んだとき思わず涙が出た。私の人生は無駄ではなかったと思った。

人生は曲がりくねっていて良く、それらを含めて今の自分がある。真っ当に生きる努力をしていればいつかは報われる。今は上手くいっていなくとも、最後は上手くいくようにできている。大事なことは、そう信ずることである。