あれからの日乗

bmsが教えてくれたこと

bmsコスパの良い趣味である、という言説がある。確かに、bmsだけやっていれば一円も掛からないし、ゲーセンに行ったとしても月数千円か、余程金を掛けたとしても一~二万程度であることを考えると、掛かる金額はたかが知れている。

私はIIDX以外もやっていたから、総額百万近くは使ったように思う。この金額の多寡はさておき、趣味に掛ける金額としては妥当であると私は思う。

bmsコスパが悪い

しかし、仮に一切ゲーセンに行かず、一円も使わなかったとしても、私はbmsコスパの悪い趣味であると思うのである。

膨大な時間

bmsを続けるには膨大な時間が必要である。一般的なゲームであれば数百時間もやれば、そのゲームにおいての「廃人」を名乗れるが、bmsの世界ではその程度では凡人にもなれない。数千時間やって初めて一端のプレイヤーを名乗ることが許され、さらにその先に進むには己の人生の全てを捧げる覚悟を持たねばならない。

実力の維持

bmsの実力を維持するには、コンスタントに時間を取り続ける必要がある。一度休止すれば、再び膨大な時間を投じて元の実力を取り戻さねばならない。

週五程度の頻度でbmsを続ける時間を捻出することは、学生や無職であれば難しくはないが、働きながらだと余程の閑職でなければ難しい。

一円のリターンも無い

bmsそのものは一円も掛からないが、どれだけbmsをやったところで一円にもならない。bmsはその成り立ちからアンダーグラウンドの存在であって、収益化できるコンテンツではない。

また、どれだけ上達したところで、同じコミュニティに属する者以外の誰からも評価されることはない。

以上の点から言えば、bmsは投資対象としては避けるべきであると言わざるを得ない。

コスパの良い趣味の例

投資対象として、コスパの良い趣味を二つ述べる。

語学

語学、特に英語はコスパが良い。学習コストは単語帳や参考書、サブスク代程度で済み、留学も不要なので、高い教室に通うなどしなければゲーセン代より安い。

何よりも語学は莫大なリターンを持つ。金額で言えば億を超えると思う。語学自体は道具でしかないので、語学自体を仕事とするよりも、身に付けたスキルを間接的にどう使うかを考えることが重要である。

プログラミング

悪質なアフィサイトがプログラミングを勧めているのは、単にプログラミングスクールのアフィリエイトを踏んで欲しいからであって、「フリーランスで年収一千万!」などと嘯くクソサイト運営者には、まずは自身の収支のエビデンスを開示して欲しいものである。

生き延びるためにプログラミングを学ぶのであれば独学で良く、スクールに通う時点で志が低すぎると言わざるを得ないし、日本のIT業界の歪みも知らずに転職したところで奴隷になるだけである。

プログラミングにおいて重要なことは、奴隷にならないように己の刃を磨き続けることである。コードを書くだけではなく、インフラ回りのことや、所属する業界のことを学ぶ必要もあり、生涯学び続ける覚悟が無いのであれば止めておいた方が良い。

bmsが教えてくれたこと

bmsは投資対象としては避けるべきであると言いながらも、私はbmsを続けてきたことを一切後悔していないし、bmsを続けていなければ、今の私は存在しない。

当たり前のことを当たり前に続けることの重要性

  • 週六で二時間bmsを二年続ければ発狂皆伝取れるよ
  • 二年間毎日五時間勉強すれば東大行けるよ
  • 三年間毎日英単語を二十個覚え続ければTOEIC満点取れるよ

これは全て同じことを言っているに過ぎない。当たり前のことを当たり前に続けることの重要性と、その難しさをbmsは教えてくれる。

正しさを疑うこと

先の例の反証として、前提条件を満たしたにも拘わらず、自分の望む結果を得られないことが往々にしてある。

俺は毎日二時間bmsを二年続けたのに発狂皆伝取れないんだが? という人に対しては、自身の環境と練習方法の正しさを疑うことを勧める。私の旧日記は既に存在しないが、キチガイの如く自身の練習の正しさを日々疑い続けたので、アーカイブを漁ればある程度参考になると思う。

終わりの無いゲームは面白い

私が過去にハマったのはbmsQMAなど、終わりの無いゲームばかりであった。今の仕事における学びも終わりが無く、無限に成長し続けられるところが面白い。

bmsをどこまで続けるのかは難しい問題であり、私は実質的にエア引退状態にあるが、明確に引退を表明はしてはいない。

「わしゃじいさんになっても音ゲーをやり続けるぞい!」の覚悟があれば、生涯現役を貫くことを止めはしないが、アフターbmsの戦略としては、何か終わりの無いゲーム(それが金になるのであれば尚の事良い)を始めておくと、いつか役に立つ日が来るかもしれない。